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VOICE magabon interview

No.190 GACKT(歌手・俳優)

この曲は、ヴォーカリストに対してのある種の挑戦状
聴いて楽しんでほしいということ以上に、チャレンジしてほしい

音楽活動以外にも俳優や声優として幅広く活躍する表現者、GACKT。これまでのシングル38作はすべてオリコンのトップ10入りを果たしており、その記録は男性ソロ・アーティストとして1位タイをマークしている。そんな中でリリースされるのが39枚目のシングル「Episode.0」だ。ここに収録された2曲はなんと投稿動画配信サービス「ニコニコ動画」(=ニコ動)から誕生したもので、オリジナル音源はネット上のクリエイターたちによって、GACKT自身の声をベースにしたボーカロイド・ソフトである“がくっぽいど”を使って作られた。それを彼自らが再アレンジし、カヴァーしてしまうというのだから面白い。
しかし、むしろそういった企画だからこそ、GACKTは全力で本物としての才能を見せつけてくれている。遊び心がありつつも、彼の挑戦が感じられる本作について、単独インタビューで話を聞いた。

GACKT

――まず、GACKTさんがニコ動に対して抱いていた印象を教えてください。
「もともと、ニコ動のスタッフとは凄く仲がいいんだよ。オープンする前に相談を受けたりもして。発想が面白いし、新しいメディアを作るっていう考え方が非常に明確だったんだ。日本ってすごくテレビが主流で、他の国に比べてテレビが力を持ちすぎている。しかも、偏った情報を流しすぎる。そういうものとは違うところで、ネット時代ならではの強みを生かして、必ず日本国内で1つのシェアを取る大きなメディアになると思っていたよ」

――ボーカロイドについてはいかがですか?
「初音ミクのこととかはもう知っていたから、実際に歌をやってる僕の声を使って“がくっぽいど”っていうヒューマン・ボーカロイドを作るのは面白いと思った。自分が想像していたよりもカルチャーが大きくなったから、ここまでいったかという感じだけどね。でも結果は出ると思っていたし、クリエイターを発掘する上でのマーケットになるだろうなって」

――がくっぽいどで作られた楽曲をGACKTさんがカヴァーするのは斬新ですね。
「やっぱり、クリエイターの底上げをするには何か目標がないといけない。“ただ、自分たちで作りました”では遊びのレベルを超えないんだよ。所詮、素人に毛が生えたレベルでしかない。ところが1つの目標をポンと作ってあげると、そういうクリエイターたちは一気に伸びる。そのきっかけを作らなきゃいけないという想いがあったから、“がくっぽいど”を使って僕に歌って欲しい曲を募集するコンテストを開催したんだ。もし僕が気に入る曲があったら、歌うよって」

――数千以上の応募があった中で、「Episode.0」と「Paranoid Doll」を選んだ決め手は?
「『Episode.0』は歌詞の中で伝えたいことが明確だったし、曲としてのクオリティがとても高かった。バックの音がたいして作り込まれてないにもかかわらず、届くものがあったんだ。歌詞の世界観やメッセージ性、メロディの強さも含めて、これは群を抜いてるなって思った。『Paranoid Doll』はまったく逆で、歌い手のことを考えて作っている曲じゃなかった。要はボーカロイドだからできるアプローチなんだよ。ブレスがほとんどないし、基本的に人が歌える曲じゃない。でも、人が歌う用に作られた曲とそれを考えないで作られた曲とでは圧倒的な作りの違いが出てきて、躍動感とかも特殊になるんだ。ボーカロイド独特の作り方だし、これも1つのクリエイティヴだと思った」

――でも、実際に歌うのは相当大変ですよね。
「ヴォーカリストに対してのある種の挑戦状。『Episode.0』がグランプリになって、カップリングを考えていた時に、多くの歌い手たちが『Paranoid Doll』をトライしてニコ動に投稿したものを見たんだ。やっぱりすごく苦労してるわけ。それを聴いた時に『違いを見せてあげなきゃダメだな』と。それで、この曲をやってみようと思ったんだよ」



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